マグスルの縮小について思うこと

マグスル東京

先ほど、日本のセカンドライフの牽引役ともいえる株式会社マグスルさんが、セカンドライフ事業を縮小されるというショッキングなニュースが飛び込んできました。

マグスルの新谷さんとは個人的にも何度かお会いしていろいろとお話しを聞かせていた事もあり、私もこの業界の可能性を信じて仕事をしている一人として今回の判断は前向きな縮小であると理解しています。

セカンドライフ事業縮小のお知らせ
http://sl.magsl.net/notice/9254

上記の文章を読んでみて思ったことを書いていきたいと思います。

 


ちょうど3年ほど前のセカンドライフブームと言われた時期、マグスルさんは山手線をイメージした日本人ユーザーのための居住区の運営をいち早く開始されました。

マグスルさんが居住区をはじめられる前は、セカンドライフ内で出会う人は外国人ばかりで基本的に英語でチャットをするのが当たり前でした。
しかしマグスルさんが居住区をはじめられた事により、日本人ユーザのたまり場が出来たわけです。

私はそれまでいろいろなセカンドライフの広大な世界をうろうろし、外国人の方や友人たちとコミュニケーションしていたのですが、やはり言葉の壁は厚く、それほどのめり込むという感じではありませんでしたが、居場所が出来たことによりSL内の友人も劇的に増えいっきにセカンドライフの面白さにのめり込んでしまいました。
その時に知り合いになった人たちはtwitterやfacebook等、場所は変われど未だにSL・リアルを問わずおつきあいさせていただいています。

こういった場所をご提供いただいた、マグスルさんには私個人として感謝しても感謝しきれないくらいです。

 

マグスルさんのお知らせの後半部分に、社長の新谷さんが書かれている文章がセカンドライフについて非常にわかりやすく書かれていますので引用させていただき、私の個人の意見としてコメントさせてもらいます。

マグスルは平成18年11月より株式会社ジップサービスの事業部として始まりました。当時、セカンドライフに大きな将来性を感じ、来る3Dインターネット時代への橋渡しとなるであろうと考えて取り組みました。その年の年末、セカンドライフが日経新聞の1面に大きく取り上げられたことにより、アメリカに続き日本でもセカンドライフブームとなりました。その後、株式会社ジップサービスより事業を移管することで平成19年6月に株式会社マグスルは誕生いたしました。

当時はまだ、一般の方々が3Dグラフィックを処理できるパソコンをもっているケースは非常に少なく、セカンドライフをプレイしようと考えてもなかなか難しい状況でした。にもかかわらず多くのマスメディアがセカンドライフを特集し、見たことのないセカンドライフを想像することによって記事が企画され、先入観を元に取材され、それを元にお金が儲かる次世代インターネットとして歪められた情報となって世に広まりました。

この「お金が儲かる次世代インターネット」的な取り上げられ方は本当に酷いものでした。
セカンドライフなどのようなバーチャルワールドはあくまでもインフラ部分であり、その上で経済活動を行えば収益を上げることは可能であるのは間違いないのですが、その部分だけをクローズアップしあたかも「セカンドライフをやればお金が稼げる」という錬金術のような取り上げられ方さえされていましたからね。

 

私も多くの取材を受けましたが、こちらが一通りの正しい情報を伝えても、それが番組や記事になるときには、取材の内容からお金が儲かる部分だけが抜粋されていました。たしかにセカンドライフの中にはいろいろなビジネスのチャンスがありました。同時にビジネスとは無関係のもっと楽しい部分もたくさんありました。

テレビや雑誌の記事を見られた多くの方々が、しかも100万人をゆうに超える人々が、セカンドライフにビジネスチャンスを求めて参加されました。しかし、おそらく9割の方がパソコンが3Dに対応していなかったためにログインすら出来なかったと思います。それほどセカンドライフブームは当時には早すぎるものでした。

ブームが去ってみてわかったのですが、当時は二種類のビジネスユーザーが居たと思います

・セカンドライフ(バーチャルワールド)の可能性に期待し、それが一般的に誰でも使うような時代になれば人とインターネットとの関わりはどう変わるのだろう?その時どういうサービスを展開すればビジネスになるのだろう?

と考えているユーザー。
もう一種類は

・セカンドライフを使って、どうやって今儲けをを出そう。

と考えているユーザー。

つまり、目線が今なのか未来なのかの違いなわけなのですがそこが全然違うのだと思います。

前者の目線で考えている方たちは、新谷さんを筆頭に未だにセカンドライフや他のバーチャルワールドに関わっておられます。
つまり、先を見て投資しているという感じでしょうか。

それに対して、セカンドライフをほとんどやってないような後者の人の場合のビジネスは、クライアントに
「セカンドライフで店を出せば儲かりますよ」
みたいな感じで提案し、多大な予算を請求し格安で我々のような参入支援業者に制作を丸投げして利益を得るわけです。
当時は、そのような人がうようよしていました。

もちろん、制作を担当する我々もそこから仕事をいただいていたのであまり強くは言えないのですが、作りながらも「ちょっと違うんじゃないかなぁ」という違和感はぬぐえませんでした。

結局、投資した金額に見合うだけの収益を得ることが出来なかったクライアントは
「やはりセカンドライフなんてダメ」
というイメージだけが残り、セカンドライフに対するイメージが一気に悪くなりました。その間たったの一年です。

「儲かりますよ」とクライアントに勧めていた後者のような人たちはイメージが悪くなったとたんにセカンドライフから離れていきました。

これが、セカンドライフバブルの終演というわけですね

 

私たち、ブーム以前のセカンドライフ企業は5年先の時代を見据えていました。販売されるすべてのパソコンが3Dグラフィックに対応し、ゲームや携帯電話、映画が3Dになる時代です。そのときセカンドライフのようなサービスは当たり前のものとして利用されるであろうと考えていました。また、多くの同様のサービスのなかで、セカンドライフは恐ろしく秀でていました。

単なるアバターチャットサービスとは異なり、非常に自由度が高く、3Dオブジェクトの作成ツールを備え、UGC(ユーザジェネレイテッドコンテンツ)のプラットフォームであり、巨大なクラウドサービスであり、全世界のユーザ同士で利用できる手数料なしのマイクロ決済機能をもち、誰もがコンテンツビジネスに参加することができました。有料の土地(サーバ)を契約することで、インターネット上にサーバをもったときと同様にサービスを提供したり、ものを販売したり、趣味の空間を作ったりすることができました。そしてそれをアバターを通してリアルタイムに会話しながら共有することができました。

この部分、セカンドライフというサービスの素晴らしさを簡潔かつ完璧ににまとめた名文だと思います。
これ以上の説明はもはや私には不可能です。
今度、ぜひどこかで引用させていただきます(笑)

 

セカンドライフにログインできた10万人ほどの日本人は、上記のような本当のセカンドライフを楽しむことが出来たと思います。そしてこれからも楽しむことが出来ると思います。多くの友達と毎晩チャットやボイスチャットを楽しみ、共同でいろいろな物をつくったり、スクリプトでそれを自由に動かしたり、イベントを楽しんだり、教室で先生から新しいことを学んだり、ライブハウスで生歌を聴きながら騒いだり。ブラウザの上ではまったくできない、新しいインターネットがセカンドライフの上にはあり、誰もが自分のアイデア次第で新しいことを発明することができ、世界中の人と楽しみを共有できます。

しかしながら、多くの日本人はそれを知りません。忙しい人は、セカンドライフをそこまで知るほどプレイしません。セカンドライフの奥の深さは他社を突き放すすばらしい点でもあり、同時に理解しがたいという弱点でもあります。その結果、残念ながら世の中は理解せぬまま批判的な見方をする人が多数となってしまいました。インターネットにはセカンドライフはもう終わったという記事があふれています。それを書いた人はろくにセカンドライフを見てもいないのに。

まさにその通りだと思います。
我々ユーザーとしては、歯がゆいのですが人の口に戸はたてれないので指を加えて批判的な文章を読むしかないですものね。

 

今後のセカンドライフは、世界レベルではブラジルの好景気に押され、個人ユーザはまだまだ増えていくことと思われます。また、日本でも徐々にその楽しさが知られ、ユーザーを獲得してゆくと思います。仮想アイテム市場はセカンドライフに限らず、世界的に盛り上がっていくことは疑いなく、今後も発展するでしょう。セカンドライフを運営するリンデンラボはすでに黒字化しており、多くのインターネットサービスのように存亡の危機にあるわけでもなく、皆様が利用する限り続くと思われます。

リンデンラボが黒字化しているのは心強いですね。
やはり日本と世界ではバーチャルワールドに対するユーザーの認識が大分違うんだろうなぁと実感します。

 

私がセカンドライフからの撤退を決心したのは、SLの発展を疑うからではありません。私とリンデンラボの方針の齟齬が埋められなくなったためです。当初、セカンドライフはオープンソースを標榜し、我々ユーザーの権利を守り、コミュニティとのエコシステムを構築してゆくことを方針としていました。そして私たちビジネスユーザーはその方針のもとでセカンドライフの支援を始めました。しかし、今はすでにリンデンラボに創設者たちは居らず、方針は大きく変わりつつあります。マグスルのビジネスはいまや日本の同業他社ではなく、運営元であるリンデンラボ自体と競合しており、日に日に協力しあうことが難しくなっています。

これはマグスルにとっては残念なことですが、セカンドライフ全体にとっては、より安全で管理された世界をつくる上で必要な変化なのかもしれません。答えは今すぐにはでませんが、現在の状況から考えるとマグスルのような事業形態では長期的に取り組むプラットフォームではないと判断した次第です。

確かに最近のリンデンラボの動きはCEOが変わってから大分方針が変わりました。
それが、マグスルさんの事業とバッティングしていたのですね。そういわれれば確かにその通りだと思います。
そういう意味では、今回の縮小は仕方のないことなんでしょうね。

無理に進んで玉砕するよりも、一時は縮小しても来るべき時に備えて体力を蓄えておくと言うのも会社経営の一つだと聞いたことがあります。
この縮小が単なる後ろ向きな縮小ではなく、前向きな縮小であるとともに、いつの日かまたマグスルさんがバーチャルワールド業界で華々しく復活することを願っております。

いままでのマグスルさんのセカンドライフへの貢献は凄いものがあると思います。本当にありがとうございました。

 


というわけで思いつくままにコメントしてしまいました。
なにやら、個人への私心のような記事になってしまいましたね。
いやでも、新谷さんの思いが非常に伝わってくる文章だったし、同じ業界に身を置くものとして気持ちが非常に伝わりましたのでコメントせずにはいられなかったのです。twitterの140文字だけじゃ、足りなくてブログを使った次第です
ま、たまにはいっか(笑)

 


<おまけ>

セカンドライフの創始者、フィリップローズデールさんと昔撮った写真。in BarTube

ken_phillip 
かなり酔っぱらってますねw

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One Response to “マグスルの縮小について思うこと”

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